黒部五郎岳８９．８．２１

黒部五郎岳（３日目）　１９８９．８．２１

ビバーク地で朝を迎えると、黒部五郎岳が目の前にあった。前日はガスの中で自分の位置が
よく分からなかった。黒部五郎岳が見えて、五郎沢を左に登って来てしまったことが分かった。
眼下には黒部乗越が見える。黒部乗越へハイマツの隙間を見つけながら下った。朝露で全身
びっしょり濡れてしまった。黒部五郎小屋に着いて、一安心し、靴下の水を絞った。一休みして
黒部五郎岳に向かった。黒部五郎岳のカールを登っていく。清冽な沢と高山植物の花と残雪が
美しい所である。岩に腰掛けて休憩する。目の前にビバーク地点が見える。　　　　　　　　　　．

カールからは、右の草地の急斜面を登って行く。稜線に出ると、双六岳の上に、槍ヶ岳が現れ
る。黒部五郎岳の山頂からは、穂高連峰に雲がかかっているが、３６０度の展望である。笠ヶ岳
抜戸岳、穂高岳、槍ヶ岳、双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、ワリモ岳、雲ノ平、水晶岳、赤牛岳、
立山、剣岳、薬師岳、太郎兵衛平、北ノ俣岳、赤木岳と、しばらく眺望を楽しんだ。槍、穂高に
は雲がかかってきた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．

黒部五郎岳を下って、赤木岳、北ノ俣岳のなだらかな登り下りを繰り返し、稜線漫歩である。
高山植物の花と残雪の道であるが、ガスの中で展望はなかった。なだらかな道の割に、朝の
ハイマツ漕ぎが堪えたのか、足取りは重かった。太郎平小屋で受付を済ませ、ビールを買って
薬師峠のテント場にテントを張った。キャンプ指定地は、大勢仲間もいて、心強い。最後の山
の夜を楽しんで、眠りに着いた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．

翌日、写真も撮らず、ひたすら山を下り、高速道路を北陸道、関越道、東北道と家路を急いだ。